奇跡を起こして、願いを叶えて。

男の人の手ははがされて、そのまま後ろに引き寄せられる。

背中から体温が伝わってきて、耳元では少し荒い息遣いが聞こえる。


「やめてください。俺の連れなんで」


聞こえたのは、白石くんの、声。

白石くんに、バックハグされたって事?

まだ理解できていないうちに、


「チッ。彼氏持ちかよ」


と金髪が言ってどこかに行った。

もしかして、勘違いしてる?

訂正しようかとも思ったけど、その前にもう1人も行ってしまった。

二人が完全に見えなくなったところで、私は解放された。


「大丈夫だった?」


優しい声で聞いてくれる。


「うん。ありがとう」


とりあえず感謝を伝える。


「……あと、ごめんね。

急に、その……バックハグとか、しちゃって」


本人から直接言われて、やっと本当のことだったんだと理解した。

途端に、私の顔が赤くなっていくのが分かった。


「…あ、いや! えと、大丈夫! じゃあ、これで!」


メロンソーダを掴んで急いで部屋に戻る。

一番端にいた夏希の隣に座ってすぐ、メロンソーダを一気に飲む。

炭酸で喉がやられて咳き込んでいたら、背中をさすられていた。

夏希だと思って、大人しくやってもらっていたら、


「ごめんね、ほんとに。嫌だったよね」


って聞こえたのは、白石くんの声。

慌てて横を向くと、ノリノリで今歌ってる人を応援中の夏希。

もう片方には私の背中をさすってる白石くん。


「うわっ!」

「え、うわっ!、て、ひどくない?」


ふざけてそう言う白石くん。


「あ、ごめんなさい…、あ、でも、あれ、ほんとに助かったから、ありがとう。嫌じゃなかったよ」


慌てて弁明すると、白石くんは、安心した、というように微笑み、


「よかった」


と言った。

それでどこかに行くのかと思ってたのに、全然動かない。

それでそのまま、その日はずっと隣にいたんだ。