そのあとも、受付で何人かお客さんは続いて、お店は大忙し。
時間が経つのもあっという間。
先輩が優しく教えてくれたおかげで、なんとか一日を乗り越えることができた。
「俺も今日17時上がりだからさ、一緒に帰らない?」
先輩がそう言ってきたのだ。
「え、いいんですか?…じゃあぜひ!」
うわぁ~…あの憧れの春斗先輩から、一緒に帰ろうとか、もう夢みたいだよ。
私達はバックヤードで着替えを済ませ、一緒に店を出た。
「おい、柚葉一緒に帰るぞ」
お店を出た瞬間後ろから突然、いつものように強引に一ノ瀬に腕を引っ張られたのだ。
「…離して。私、春斗先輩と帰る約束したの。」
「無理。俺以外の男と喋ってんじゃねぇよ…」
「だから…離してって!!」
いつもだったら断りもせずに、彼について行ってた私が、初めて自分から断った。
……自分でもびっくりした。それと同時にあんまりにも寂しそうにする一ノ瀬の表情に…罪悪感も感じた。
「……ゲームオーバー」
「…は?」
「だから…ゲームオーバーしてあげるって、言ってんの…」
この場をなんとかしないと…と思った私は、ふいにこんな言葉を並べたのだ。
最初に出会った時に言われた、一ノ瀬の言葉を思い出す。
意味の分からない「ゲームオーバーすんなよ?」って言葉だ。
この場しのぎで言ったこと、ちょっと後悔しながらも……。



