「いってぇ」
「ちょっと我慢して」
水で洗ったあと、ティッシュで一ノ瀬の傷をちょんちょんと優しく拭き取った。
「ねぇ…なんでそこまでしてくれるの?」
「彼女だからに決まってんだろ」
「でもさ…」
「いいから戻るぞ、腹減ったし」
好き同士で付き合ってるわけでもなんでもない私達なのに。
恋愛ゲームがどうとかなんとか言ってた癖に。
肝心なことは聞けないまま、私たちは海の家に向かって歩き始めた。
「ありがとね、助けてくれて」
「…当たり前だろ」
一瞬だけ見た一ノ瀬の顔は、ほんのりピンク色に染まっていた。



