あの夢の続き

恋愛(ピュア)

あの夢の続き
作品番号
1791466
最終更新
2026/09/09
総文字数
7,253
ページ数
1ページ
ステータス
完結
PV数
40
いいね数
1
「うるさいなぁ。ここは、どこ?」
熱狂が渦巻くライブ会場。
記憶を失い、恐怖で逃げ出した私を引き留めたのは、
トップアイドルとして世間を騒がせる男――透だった。
「あの家、もう契約の手続き進めてるから」
ふたりで探した古い平屋、誰の目も気にせず暮らす約束。
けれど、今の私にはそのすべてが見知らぬ誰かの思い出でしかない。
――私は、誰かの体を乗っ取ってしまった偽物なんじゃないか。
凍りつくような自己不信に怯える私を前に、透は冷たく背を向けた。
「……これ以上一緒にいても、意味ないだろ」
突き放された言葉の裏にあったのは、拒絶ではなく、
愛する人に「誰?」と見つめられた男の、血を流すような絶望だった。
記憶を取り戻したとき、私は彼を決定的に傷つけた罪の重さに打ちのめされ、
名前も気配も消して、都会の片隅で息を潜める道を選ぶ。
二度と会ってはいけない。それが私の唯一の償い。
それから、3年の月日が流れた。
ふたりで暮らすはずだった荒れ果てた廃屋の庭で、運命は再び静かに動き出す。
数メートルの距離を隔てて立ち尽くす透の手のひらにあったのは、
かつてふたりで買った、あの擦り切れた安物のキーホルダーだった――。
言葉を失った男の沈黙と、引き裂かれた時間の果てにある赦し。
記憶の喪失をめぐる、痛切で静かな大人の純愛サスペンス。
【短編・完結】
あらすじ
事故によるショックで一時的に記憶を失い、「自分は他人の体を乗っ取った偽物」だと思い込んでいた薫子。トップアイドルである恋人・透が差し出してくれた未来を怯えて拒絶し、彼を傷つけてしまう。記憶を取り戻した彼女は罪悪感から名前も変え、姿を消した。それから3年。ふたりで暮らすはずだった古い平屋の庭で、運命は再び交錯する。言葉を捨てた男が差し出した手のひらには、あの擦り切れた安物のキーホルダーがあった――。

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