不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました

まあ、周りから固められて『姫』になるかもしれない、と思いながら過ごすよりかは「『元姫』哀れなり」と思われているほうがまだ…ほんのちょっとはマシではあるし、靴箱の薔薇は回収してもらえるし、一応よしとしておこう。

それもこれも、大吉くんが言っていた「なんとかなりますよ」展開が当たったということなのか…強運の持ち主さすがなり。


「ん?どうかしましたか?」


本人は素知らぬ顔でアスパラベーコンを咀嚼している。
もしや、大吉くんと一緒に居れば私の不運も五パーセントくらいはカットされるということなのでは?


「ううん。とりあえず、ポエマー総長から逃れられることが出来てよかったなと思っただけ」

「確かに。あのポエムはなかなかに…ええ、鬼気迫るものがありました」

「ポエムで鬼気迫るってどういうことだよ!?」


突っ込みたくなる気持ちもわかるよ、朝比奈くん。君が突っ込まなかったら私が突っ込んでいたし、変に好奇心が刺激されて薄目でポエムを確認するところだった。


「まあ、あのポエムがもう二度と靴箱に入ることがないというのは安心すべきことですね」

「ほんとにね…薔薇も可哀想だし…邪魔だし」

「しばらく変な目で見られるかもしんねーけど、あんま気にすんなよ。来月は待ちに待った遠足だぜ」


そうなのだ。来月の始めに、大イベントの遠足が待ち受けている。
行き先は大型森林公園。アスレチックで心身を鍛え、みんなで力を合わせてカレーを作り、食べる、という小学生の遠足みたいな内容だ。
しかし、それを行うのは我らがアラクレたち。何事もなくすんなり行くとは到底思えない。むしろ、何かあるほうが普通なのだから。


「アスレチックなんて小学生ぶりですね」

「…絆創膏持って行っとかなきゃ」

「カレー、ゴロゴロ野菜にしよーぜ!」


カレー……無事作ることが出来るのだろうか。


「楽しみですね、臼井さん」


ワクワクしながら爽やかな笑みを向ける大吉くん。

彼が居れば、まあ、なんとかなりそうではあるので、私も不安を一生懸命頭の隅へ追いやって「そうだね」とぎこちなく笑っておいた。

大丈夫、だろう。大吉くんがクラス委員長で、ボスなのだから。