不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました

別にいいんだよ?東総長に『姫』が出来て。
でもなんなの、この微妙な雰囲気は……。アラクレクラスメイトの視線は哀れみを含んでいて、そっと目を逸らす人もいる。
待ってほしい、私は別に振られたわけじゃないのだけれど……?


「臼井……」

「え、そんな目で見ないでよ朝比奈くん。東総長にほんとの『姫』が出来てよかったじゃん。私はすごく助かってるんだけど…」

「昨日の今日ですし、…くふっ…傷付いてないかと思っているんですよ……ぶふっ……朝比奈くんは」

「ねぇぇぇ!?なんで大吉くんは笑ってんの?!」


なんともいえない教室内に、一人のアラクレが入ってくる。一瞬、大吉くんを見て顔をこわばらせたのは、先日論破されたばかりのA組の委員長だった。
大吉くんから視線を外し、私を見ると軽く頭を下げられる。私もなんとなくぺこっと頭を下げれば、A組の委員長は私の席へとやって来て……。


「『姫』の件だが…」

「えっと、東総長に『姫』が出来たってことですよね?さっき聞きました、大丈夫です。気にしてないので」

「……そうか」


なぜ、そんなに「強がってる…」みたいな目で見るのだろう。少なくとも昨日のやり取りを知っているクラスメイトたちはわかってるでしょうが…!

A組の委員長は「靴箱の薔薇は回収しておく」とだけ言い残し、そのまま去っていった。


「ついでにポエムも返すべきでしたね」

「それは家でお焚き上げでもしておくよ」


きっと、黒歴史ってやつだろうからね。




昼休みになる頃には、すっかり学園内はS女の『姫』のことで話題はもちきりだった。それと同時に、私には「『元姫』……強く生ろよ」みたいな視線を向けられるようになり、心底不愉快である。

ぷりぷりしながらお弁当箱を開け、卵焼きに箸をぐっさりと刺す。それがまた「強がってる」「新しい『姫』が出来て怒ってるんだ」と思われるのだから困ったものだ。


「もう!みんな勘違いしすぎ!」

「ふふっ…人の噂もなんとやらと言いますし」

「それさっきも聞いたけど!ある意味違う方向で困る展開になってるんだけど!」

「まあまあ、カッカすんなって。りんごパイやるから」

「ありがと!」


卵焼きを一切れ丸々口に頬張り、朝比奈くんチのりんごパイ(中身が破裂したやつ)をありがたく頂戴する。


「それにしても、恋多き総長でしたねぇ」

「んぐ…ほんとだね。おかげで助かったけどね」

「そのS女の『姫』もみつあみだったりしてな!」


「…みつあみらしいぜ、その『姫』」


「「「えっ…」」」


情報通のヨシダくんがコンビニパン片手にやって来て一言。それに対し、私たち三人の声が揃った。

……みつあみフェチ、東陽平。…ゾッ。