「No.2、おはざっす!」
「No.2、おはようございます!」
「お、おはよー…」
昇降口に入ると、アラクレクラスメイトたちから朝の挨拶をされる。それにもそろそろ慣れてきた頃、私には新たな問題が降りかかってきた。
──早乙女野薔薇會。暴走族のグループ。
その総長である東陽平になぜか気に入られてしまい…私を『姫』候補にと望む彼が、グループのメンバーを使って何かやってくるのでは?という、なんともこの学園らしい状況に少し精神的にまいってしまっている。
おかげで朝食はおにぎりひとつのみだ。普段は茶碗二杯はご飯を食べているというのに。
さて、昨日の今日で、早乙女野薔薇會の人たちに家を特定されたとか、登校中に声をかけられるとか、そういったことはないにしろ、学園に入れば何かしてくるのではという、嫌な予感はひしひしとしている。
たとえば、靴箱のふたを開けたら何か入っているとか。
「まさか、ね」
恋愛小説のセオリーでいうと、ここには東総長の想いをしたためた手紙なんかが入っていたりするのだけれど、いかんせんここは早乙女野薔薇学園。アラクレたちの巣窟。そんなストレートにいくわけ……。
──ガコン。
靴箱を開けた瞬間、ぶわり、と濃厚な花の香り。
まさかの──赤い薔薇である。
上履きを覆い隠すようにぎゅうぎゅうに詰め込まれている薔薇は苦しんでいるようにも見える。
「う、うわわ……引っ張り出せない…」
「おや、面白いことになってますね?」
「大吉くん!」
私の靴箱を覗き込んで面白そうに笑うのは大吉くんその人。しかも「よくこれだけ入りましたねぇ」なんて感心している始末。そうじゃない、違うそうじゃないんだよ大吉くん。
「これ、多分早乙女野薔薇會の…!」
「そうみたいですねぇ、ふたの裏に手紙が」
手紙はそこに貼り付けてあるのかよ!
靴箱のふたの裏に可愛いマスキングテープで貼られた白い封筒には『愛の果し状』と書かれていて、出来れば触れたくないアイテムだ。
私が手を伸ばす前に大吉くんがべりっとそれを剥がし、中身まで毒味ならぬ毒読みする。浮かべている笑顔がどんどん険しくなり………何、何が書かれているんだ…!
「え、何…そんなに怖いこと書いてあるの?」
「いいえ、臼井さんに対してのポエムが…」
暴走族の総長がポエマー…知りたくなかったなぁ。
大吉くんが「読みますか?鳥肌が立ちますよ」と腕捲りしたシャツから覗く白い腕にはびっしりと鳥肌が立っていて、とてもじゃないけれど読む気にはならなかった。
そのまま大吉くんに預かってもらい、私はなんとか薔薇だらけの靴箱から上履きを引き抜く。ひらひらと足元に散る赤い花びらがなんとも言えない気持ちにさせた。
「No.2、おはようございます!」
「お、おはよー…」
昇降口に入ると、アラクレクラスメイトたちから朝の挨拶をされる。それにもそろそろ慣れてきた頃、私には新たな問題が降りかかってきた。
──早乙女野薔薇會。暴走族のグループ。
その総長である東陽平になぜか気に入られてしまい…私を『姫』候補にと望む彼が、グループのメンバーを使って何かやってくるのでは?という、なんともこの学園らしい状況に少し精神的にまいってしまっている。
おかげで朝食はおにぎりひとつのみだ。普段は茶碗二杯はご飯を食べているというのに。
さて、昨日の今日で、早乙女野薔薇會の人たちに家を特定されたとか、登校中に声をかけられるとか、そういったことはないにしろ、学園に入れば何かしてくるのではという、嫌な予感はひしひしとしている。
たとえば、靴箱のふたを開けたら何か入っているとか。
「まさか、ね」
恋愛小説のセオリーでいうと、ここには東総長の想いをしたためた手紙なんかが入っていたりするのだけれど、いかんせんここは早乙女野薔薇学園。アラクレたちの巣窟。そんなストレートにいくわけ……。
──ガコン。
靴箱を開けた瞬間、ぶわり、と濃厚な花の香り。
まさかの──赤い薔薇である。
上履きを覆い隠すようにぎゅうぎゅうに詰め込まれている薔薇は苦しんでいるようにも見える。
「う、うわわ……引っ張り出せない…」
「おや、面白いことになってますね?」
「大吉くん!」
私の靴箱を覗き込んで面白そうに笑うのは大吉くんその人。しかも「よくこれだけ入りましたねぇ」なんて感心している始末。そうじゃない、違うそうじゃないんだよ大吉くん。
「これ、多分早乙女野薔薇會の…!」
「そうみたいですねぇ、ふたの裏に手紙が」
手紙はそこに貼り付けてあるのかよ!
靴箱のふたの裏に可愛いマスキングテープで貼られた白い封筒には『愛の果し状』と書かれていて、出来れば触れたくないアイテムだ。
私が手を伸ばす前に大吉くんがべりっとそれを剥がし、中身まで毒味ならぬ毒読みする。浮かべている笑顔がどんどん険しくなり………何、何が書かれているんだ…!
「え、何…そんなに怖いこと書いてあるの?」
「いいえ、臼井さんに対してのポエムが…」
暴走族の総長がポエマー…知りたくなかったなぁ。
大吉くんが「読みますか?鳥肌が立ちますよ」と腕捲りしたシャツから覗く白い腕にはびっしりと鳥肌が立っていて、とてもじゃないけれど読む気にはならなかった。
そのまま大吉くんに預かってもらい、私はなんとか薔薇だらけの靴箱から上履きを引き抜く。ひらひらと足元に散る赤い花びらがなんとも言えない気持ちにさせた。
