モノツキ落とし~ウワサの幽霊くんは地獄から来た名探偵!?~

 キーンコーンカーンコーン。

 昼休みを知らせるチャイムが鳴るのと同時に、私は早足で愛菜ちゃんの席へと向かった。

「ねえ、愛菜ちゃん」

 できるだけ変に思われないよう、自然なふうに私は声をかける。

 うつむいて引き出しの中をごそごそしていた愛菜ちゃんは、少し間を置いて、私の方を見た。

「……なあに?」

「え、えっと……ちょっと来てほしい場所があって。話があるっていうか……」

「? いいけど……」

 愛菜ちゃんは不思議そうな顔をしながらも、頷いてくれる。

 よかった、ひとまず第一関門は突破だ。

 次はキーホルダーを持ってきてくれるように、上手に誘導しないと。

「ありがとう! ……あっ、そうだ。あのキーホルダーも持ってきた方が……いい、かも!」

「キーホルダー?」

「う、うん。ほら、なくなっちゃうといけないし……」

「……そっか」

 そう言うと、愛菜ちゃんは小走りでロッカーに行き、ランドセルからキーホルダーを外して持ってきた。

 大事に大事にキーホルダーをにぎりしめる姿に、胸がきゅっとする。
 可愛いウサギも、心なしかしょんぼりしているみたいに見えた。

「じゃあ、行こっか」

 私は愛菜ちゃんを教室の外に連れ出す。

 それにしても、どこに行こうかな。
 誰もいなくて、誰も来ない場所……。

 愛菜ちゃんと一緒に歩きながら、私は考える。

 そうだ! 二階の空き教室に行こう!

 あそこは十何年か前まで普通の教室だったけど、子どもの人数が少なくなって、クラスの数も減ったから使わなくなったらしい。

 今、私が求めてる条件にぴったりだ。

 私はさっそく、空き教室の方へと向かう。
 人気の無いそっちに行くにつれ、周囲がしんとしていくのがわかった。

 運が良いことに、空き教室にはカギがかかっておらず、私と愛菜ちゃんはすんなりと中に入ることができた。

「それで、話ってなに?」

 愛菜ちゃんは少し不安そうに聞いてくる。

「えっと……」

 私は答えようとするけど、言葉が出てこない。
 だって、この先どうすれば良いのかわからないから。

 あの男の子は『呼び出して』とだけ言ってたけど、私、もうちょっと何かした方が良いのかな?

 もしかして、男の子が何かするまで時間かせぎをしなきゃいけない?

 ああ、とにかく愛菜ちゃんに何か言わなきゃ!

 焦りながら、私は口を開く。

 けれど、私が声を出すより先に。

「やあ」

 聞き覚えのある声が、教室の中に響いた。