「で、キーホルダーが無くなったんだっけ?」
男の子はヒビの入った平均台に腰かけて、私に問いかけた。
さっき私があげたゼリーはもう食べきられて、空っぽの容器だけが彼の横に置いてある。
「うん」
「いつ、何があって、誰がどうしたか、詳しく教えてごらん」
私は頷いて、今日の出来事を一から思い出す。
まず、二時間目の体育が終わるまでは、いつもと何も変わらなかった。
お休みの子も、遅刻をした子もいない、いたって普通の日。
それが体育の時間が終わった後、次の算数の授業の用意をしようとした愛菜ちゃんが、ロッカーで「ああっ」と悲鳴を上げた。
ランドセルにいつも付けている、ウサギのキーホルダーが無くなっていたのだ。
それも、二時間目の前まではちゃんとあったのに。
愛菜ちゃんはショックで泣き出してしまい、みんなは誰かが隠したのだと、犯人探しを始めた。
私は犯人より先に、キーホルダーを見つけてあげたくて、言い合いをするみんなから離れて、あちこち探しに行った。
そしたら、キーホルダーはあった。
見つかった場所は、昇降口の、窓枠の上。
ガラス製の扉の、更に上にある窓の部分だ。
その隙間にぴったりとはまるように、キーホルダーは置かれていた。
私には高くて手が届かなかったから、掃除用具入れにあったほうきを使って、どうにかキーホルダーを回収して愛菜ちゃんに渡した。
これで一件落着って思ったんだけど……みんなはどうしても犯人が気になるって、言い合いをやめなかった。
むしろ落としただけじゃありえない場所にあったからって、空気がよけいにピリピリしていったのを、覚えている。
その空気は放課後までずっと続いた。
私もなんでキーホルダーが無くなったのかは気になるけど、それよりもみんなが疑い合って、嫌な空気になっているのがつらかった。
だから、イチかバチかでウワサの幽霊さんに頼り、真相をあばいてもらい、早くこの「事件」を終わらせたいと思ったのだ。
「……っていうことなの」
私は思い出したことを、そっくりそのまま男の子に伝える。
男の子は、「ふうん」と言って、しばらく黙り込んだ。
どうかな、解決してもらえるかな。
あんまり沈黙が長いから、私はそっと口を開く。
「幽霊パワーとかで、何とかならない……?」
「ならないね」
ばっさり。
突き放すような答えに、私はがくりと肩を落とす。
けれど、男の子はすぐにこう続けた。
「これが、普通の事件ならの話だけど」
えっ、と私は目を見開く。
「この事件は、普通じゃないってこと?」
「そう」
男の子は頷いた。
「明日、いつもみたいに学校においで。でも、ここには来なくていい。まっすぐ教室へ行って、待っていて」
男の子はヒビの入った平均台に腰かけて、私に問いかけた。
さっき私があげたゼリーはもう食べきられて、空っぽの容器だけが彼の横に置いてある。
「うん」
「いつ、何があって、誰がどうしたか、詳しく教えてごらん」
私は頷いて、今日の出来事を一から思い出す。
まず、二時間目の体育が終わるまでは、いつもと何も変わらなかった。
お休みの子も、遅刻をした子もいない、いたって普通の日。
それが体育の時間が終わった後、次の算数の授業の用意をしようとした愛菜ちゃんが、ロッカーで「ああっ」と悲鳴を上げた。
ランドセルにいつも付けている、ウサギのキーホルダーが無くなっていたのだ。
それも、二時間目の前まではちゃんとあったのに。
愛菜ちゃんはショックで泣き出してしまい、みんなは誰かが隠したのだと、犯人探しを始めた。
私は犯人より先に、キーホルダーを見つけてあげたくて、言い合いをするみんなから離れて、あちこち探しに行った。
そしたら、キーホルダーはあった。
見つかった場所は、昇降口の、窓枠の上。
ガラス製の扉の、更に上にある窓の部分だ。
その隙間にぴったりとはまるように、キーホルダーは置かれていた。
私には高くて手が届かなかったから、掃除用具入れにあったほうきを使って、どうにかキーホルダーを回収して愛菜ちゃんに渡した。
これで一件落着って思ったんだけど……みんなはどうしても犯人が気になるって、言い合いをやめなかった。
むしろ落としただけじゃありえない場所にあったからって、空気がよけいにピリピリしていったのを、覚えている。
その空気は放課後までずっと続いた。
私もなんでキーホルダーが無くなったのかは気になるけど、それよりもみんなが疑い合って、嫌な空気になっているのがつらかった。
だから、イチかバチかでウワサの幽霊さんに頼り、真相をあばいてもらい、早くこの「事件」を終わらせたいと思ったのだ。
「……っていうことなの」
私は思い出したことを、そっくりそのまま男の子に伝える。
男の子は、「ふうん」と言って、しばらく黙り込んだ。
どうかな、解決してもらえるかな。
あんまり沈黙が長いから、私はそっと口を開く。
「幽霊パワーとかで、何とかならない……?」
「ならないね」
ばっさり。
突き放すような答えに、私はがくりと肩を落とす。
けれど、男の子はすぐにこう続けた。
「これが、普通の事件ならの話だけど」
えっ、と私は目を見開く。
「この事件は、普通じゃないってこと?」
「そう」
男の子は頷いた。
「明日、いつもみたいに学校においで。でも、ここには来なくていい。まっすぐ教室へ行って、待っていて」

