モノツキ落とし~ウワサの幽霊くんは地獄から来た名探偵!?~

 私たちの通う四ツ緒(よつお)小学校には、こんなウワサがある。

 「夕方の四時に裏体育館倉庫に行くと、幽霊が出る」。

 裏体育館倉庫というのは、めったに使わない大きな道具や、古くなったもの、壊れたものがしまってある倉庫のことだ。
 普通の倉庫とは違って、体育館の裏側に建っている。
 灰色のコンクリートの分厚い壁と、上の方にある小さい鉄格子の窓が、なんだか牢屋みたいでみんな不気味がっている。

 でも今、私・中山甘音(なかやまあまね)はそんな裏体育館倉庫の前まで来ていた。

 校舎の時計を見上げると、時間はちょうど四時ぴったり。

 すう、はあ。

 私は大きく深呼吸をして、右手でにぎりこぶしを作る。
 そして、その手で倉庫の、さびた鉄の扉を叩いた。

「こんにちは! 幽霊さん、いますか!」

 ゴンゴンゴン!

 重たい音が、あたりに響く。

 私は手が痛くなるまで、にぎりこぶしのノックを続けた。

 すると。

 カチャン、キイ。

 扉に付いていた、南京錠がひとりでに外れた。

 私は思わず、ぶるっと震える。

 幽霊だ。
 本当に幽霊がいるんだ!

 ドキドキしながら、私は扉の取っ手にふれる。

 両手を使って、体重を乗せて、ぐいっと思い切り取っ手を引っ張った。
  ゴゴゴ、ガコン……。

 地響きみたいな音を立てて、扉が開く。

 中をのぞき込むと、ほこりっぽくてうす暗い、じめっとした空間が広がっていた。

 私はごくりとつばを飲み込む。

 怖いけど、行かなくちゃ。

 靴の中で冷えたつま先を、そっと倉庫の内側に踏み込ませる。
 そしてそのままの勢いで、えいっと全身を入れた。

「やあ」

 私の両足が地面に付くのと同時に、右上の方から声がした。

 えっ! と思って、私はそっちを見上げる。

 そこにいたのは、白いマットの部分が破れて、ボロボロになった八段の跳び箱。
 ……の、上にうつ伏せで寝転がる、一人の男の子だった。

「いらっしゃい」

 私はつい、その男の子に目を奪われる。

 彼は銀色の髪を、おかっぱみたいに切りそろえて、後ろ髪だけ長く三つ編みにしていた。
 肌は褐色で、目は青色、まつ毛が長くて、すごく美人だった。

 剣道の道着? に赤いスカジャンを羽織って、なんだか眠たそうな、気だるそうな表情で私を見下ろしている。

 でも、この男の子って、たぶん。

「幽霊さん、ですか?」

 恐る恐る私が聞くと、男の子は目をぱちぱちとした。

「そうだよ」