『もう、好きじゃないことにした』




***


数日前

仕事の帰り

いつもの待ち合わせの時間になっても
莉央と連絡が取れなくなった──あの数前の日。


『ごめんね』
と一言だけ届いたメッセージに
嫌な予感がして、夢中で莉央のアパートへ走った。



あの時は――

暗い部屋で一人膝を抱えていた莉央を
見つけることができた。

「ごめんね……
スマホの充電が切れて
動けなくなっちゃってただけなんだ」

そう言って不安そうにうつむく莉央を
夢中で抱きしめて、「良かった」と心から安堵した。




――でも、あの日は始まりに過ぎなかった。

それからの数日間、
莉央はどこか遠くを見つめていることが増えた。

何か悩んでいるのは明らかだった。

「莉央、何かあった? 俺で良ければ話してほしい」

優しく問いかけても、
莉央は困ったように微笑んで
「なんでもないよ」
「ホントに大丈夫だから」と首を振るばかり。

莉央の気持ちを一番に考えたいからこそ、
無理に聞き出すこともできず、
「莉央がそう言うなら」とそれ以上踏み込めなかった。

莉央を想っているつもりで、
俺は一番大事なことから目を背けていたんだ。