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蓮side
翌日の土曜日の朝
まぶたを閉じたまま、
いつもの癖で隣へ手を伸ばす。
莉央の温かい体を抱き寄せようとした腕は、
虚しく空を切って、冷たいシーツを撫でただけだった。
「…ん…莉央?」
そこで初めて目を開ける。
部屋の中は、嫌になるほど静まり返っていた。
隣のベッドスペースは、
綺麗に整えられたまま空っぽだった。
(……おかしいな)
いつもなら、俺の方が早起きだ。
莉央の寝顔を横目で見ながら
体を起こすのが、
いつもの朝の光景のはずだった。
重い体を起こし、声をかけるが返事はない。
いつもなら微かに聞こえる生活音も、何もなかった。
俺はベッドから抜け出し、
足早にリビングへと向かった。
…いない。
「莉央……?」
脱衣所やトイレのドアを次々と開ける。
どこにも莉央の姿はなかった。
洗面所に向かうと、
いつも並んでいた莉央の歯ブラシや
スキンケア用品が綺麗に消えている。
胸の奥が、冷たくざわついた。
急いで玄関へ向かう。
そこにあったはずの莉央の靴も、
いつも着ていた上着も、綺麗になくなっていた。
「……っ、嘘だろ」
胸の鼓動が一気に早くなる。
慌ててリビングへ戻った。
そして――
テーブルの上にある、一枚の紙に目が留まった。
そこには短く。
『今までありがとう。蓮のこと、大好きだったよ』
とだけ書かれていた。
紙を握りしめた。
「……は?」
声が震える。
「……ふざけんな」
昨日まで隣にいた。
好きだと言ってくれた。
なのに。
「なんで……まさか」
震える手でスマホを取り出し、美玲に電話をかけた。
一回。
二回。
三回。
ようやく繋がった。
『…ふぁぁ…こんな朝早くに何?』
「お前、莉央に何言った?」
美玲は黙った。
「答えろよ」
『……蓮』
「何言ったんだよ」
『私は、本当のことを話しただけ』
「本当のこと?」
無意識に声が低くなる。
「俺が昔、お前と付き合ってたこと?」
『それも』
「それも?」
美玲は少し間を置いた。
『蓮が、好きな人でも突然捨てる人だってこと』
その瞬間、悟った。
「……お前、莉央を怖がらせたな」
『私は何も嘘は言ってないよ。蓮だって、昔そうしたでしょ?』
「……」
『莉央ちゃん、
あなたから離れるって決めたみたいだよ』
「……どこにいる」
『…知らない』
「嘘つくなよっ!」
『本当に知らないのっ!』
ブツッと虚しい電子音が響き、電話が切れた。
「……くそっ!」
スマホを握りしめたまま、部屋を飛び出した。
朝の冷たい空気が、荒い息とともに肺を満たす。
どこを探せばいいかも分からないまま、
がむしゃらに走り出した。
――数日前にも、似たようなことがあった。
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蓮side
翌日の土曜日の朝
まぶたを閉じたまま、
いつもの癖で隣へ手を伸ばす。
莉央の温かい体を抱き寄せようとした腕は、
虚しく空を切って、冷たいシーツを撫でただけだった。
「…ん…莉央?」
そこで初めて目を開ける。
部屋の中は、嫌になるほど静まり返っていた。
隣のベッドスペースは、
綺麗に整えられたまま空っぽだった。
(……おかしいな)
いつもなら、俺の方が早起きだ。
莉央の寝顔を横目で見ながら
体を起こすのが、
いつもの朝の光景のはずだった。
重い体を起こし、声をかけるが返事はない。
いつもなら微かに聞こえる生活音も、何もなかった。
俺はベッドから抜け出し、
足早にリビングへと向かった。
…いない。
「莉央……?」
脱衣所やトイレのドアを次々と開ける。
どこにも莉央の姿はなかった。
洗面所に向かうと、
いつも並んでいた莉央の歯ブラシや
スキンケア用品が綺麗に消えている。
胸の奥が、冷たくざわついた。
急いで玄関へ向かう。
そこにあったはずの莉央の靴も、
いつも着ていた上着も、綺麗になくなっていた。
「……っ、嘘だろ」
胸の鼓動が一気に早くなる。
慌ててリビングへ戻った。
そして――
テーブルの上にある、一枚の紙に目が留まった。
そこには短く。
『今までありがとう。蓮のこと、大好きだったよ』
とだけ書かれていた。
紙を握りしめた。
「……は?」
声が震える。
「……ふざけんな」
昨日まで隣にいた。
好きだと言ってくれた。
なのに。
「なんで……まさか」
震える手でスマホを取り出し、美玲に電話をかけた。
一回。
二回。
三回。
ようやく繋がった。
『…ふぁぁ…こんな朝早くに何?』
「お前、莉央に何言った?」
美玲は黙った。
「答えろよ」
『……蓮』
「何言ったんだよ」
『私は、本当のことを話しただけ』
「本当のこと?」
無意識に声が低くなる。
「俺が昔、お前と付き合ってたこと?」
『それも』
「それも?」
美玲は少し間を置いた。
『蓮が、好きな人でも突然捨てる人だってこと』
その瞬間、悟った。
「……お前、莉央を怖がらせたな」
『私は何も嘘は言ってないよ。蓮だって、昔そうしたでしょ?』
「……」
『莉央ちゃん、
あなたから離れるって決めたみたいだよ』
「……どこにいる」
『…知らない』
「嘘つくなよっ!」
『本当に知らないのっ!』
ブツッと虚しい電子音が響き、電話が切れた。
「……くそっ!」
スマホを握りしめたまま、部屋を飛び出した。
朝の冷たい空気が、荒い息とともに肺を満たす。
どこを探せばいいかも分からないまま、
がむしゃらに走り出した。
――数日前にも、似たようなことがあった。
