『もう、好きじゃないことにした』

 

付き合い始めてからの蓮は、
驚くほど素直だった。

「好き」
「大好き」
「会いたかった」


そんな言葉を、恥ずかしげもなく言ってくれる。


莉央はそのたびに嬉しくなった。

(……幸せだな)

そう思っていた。

何気ないやり取りさえ、
莉央にとっては幸せだった。

 

三年間、ずっと片思いしていた相手。

一度は諦めようと思った相手。

もう好きじゃないことにしようと思った相手。




そんな蓮と、今は恋人として一緒にいる。



だからこそ、莉央は思っていた。

 ――この幸せを、大事にしたい。





そう思っていた。





 


――あの日までは。










 ⸻