『もう、好きじゃないことにした』

 




それから三ヶ月。


蓮は変わらなかった。


毎朝、
「おはよう」と送る。
夜には、
「おやすみ」と送る。


会いたいと言われれば会う。


それを断られても、
蓮は怒らなかった。


他の女の子から遊びに誘われても、
断るようになった。




そんな蓮の変化に気づいたのは、
同じ会社で働く紗季だった。

ある日の昼休み。

「蓮くん、最近どうしたの?」
「ん?」

「最近、女の子に誘われても断ってるよね〜!」

紗季は不思議そうに首を傾げる。

「前は普通に遊びに行ってたのに」
「……まあね」

蓮は少しだけ笑った。

「好きな人いるから」
「……そっかぁ」

紗季は少しだけ黙った。


そして、ほんのり困ったように笑う。

「……それって莉央?」

蓮は一瞬だけ目を伏せた。

「うん」
「やっぱり……」

紗季は小さく息を吐いた。

「私ね、莉央には諦めた方がいいって言ってたの」

「……」

「蓮くんが悪い人って言いたいわけじゃないんだけど」

少し申し訳なさそうに笑う。



「莉央、すぐ自分のこと後回しにしちゃうから」

「……」

「莉央が傷ついたら嫌だなぁって思って」

蓮は何も言わず、
紗季の言葉を聞いていた。

「でも……」

紗季は少しだけ笑う。

「最近の蓮くん見てたら、ちょっとだけ安心した」

「……」

「ちゃんと、莉央のこと好きなんだね」

蓮は少し黙ってから、
静かに笑った。




「俺が三年間好きだった子だから」


「……そっか」


紗季は少しだけ笑った。


「じゃあ、ちゃんと伝えてあげてね」