『もう、好きじゃないことにした』

 

「……それでも」

莉央が言う。

「私は怖い」

「うん」

「また好きになって」

「うん」

「また捨てられたら?」
「捨てない」

「…分からないじゃん、!」
「分かる」

「未来のことなんて分からない」

「……」

「だから怖い」



蓮はしばらく黙った。

「じゃあ」



ドア越しにゆっくりと話す。





「俺が一生かけて証明する」

「……」

「今すぐ信じなくていい」

「……」

「好きにならなくてもいい」

「……」

「でも、俺は莉央が好きだから」

「……」




「だから、待つ」




莉央は泣きながら首を振った。

「……ずるい」

「何が?」

「そんなこと言われたら……」

声が震える。


しばらくの沈黙のあと。


莉央がゆっくりと

ドアノブに手をかけた。




ガチャ。


玄関のドアが、ゆっくりと開く。



泣き腫らした莉央の顔が、
蓮の目の前に現れた。

「……好きなの、諦められなくなっちゃう」


蓮は一瞬、何も言えなかった。


それから、
ほんの少しだけ笑った。


「なっていいよ」

「……ばか」
「うん」



「本当に……ばか」
「知ってる」


莉央が泣きながら笑う。






でも。



まだ。




「……今は、付き合えない」


蓮は少し苦しそうに笑った。


「分かった」
「……ごめん」
「謝るな」

「……」
「俺が待つって決めたんだから」