蓮side
正直。
俺は焦っていた。
莉央に連絡しても
あまり良い返事はないし、
よりによって
姉貴と買い物してる所も見られた。
でも。
久しぶりに会うと、
少しまた笑ってくれた。
前よりも少し話してくれるようにもなった。
だけど。
莉央の様子から見て、
まだ俺を信じていない。
当たり前だ。
…三年間。
俺がそうさせた
今は、居酒屋の隅の席。
仕事終わりに湊と二人で飲んでいた。
周りの笑い声や、
グラスのぶつかる音が響く中、
俺はぼんやりと手元の酒を見つめていた。
「……遅すぎたな」
ぽつりと呟く。
「何が?」
「莉央」
湊が一瞬だけ俺を見る。
「今さら?」
「うん」
俺はグラスを傾けながら、苦笑した。
「でも追いかけてるじゃん」
「……それしかできない」
湊は何も言わず、少しだけ俺の顔を見た。
「お前、そんなに好きだったの?」
その言葉に、俺は小さく笑った。
「……馬鹿みたいにな」
そのときだった。
「すみませーん」
隣から明るい声が飛んできた。
振り向くと、女の二人組が
こちらを見て笑っている。
「お兄さんたち、カッコいいなって思ってて!
よかったら一緒に飲みません?」
湊がちらっと俺を見る。
俺は特に反応せず、
グラスに視線を落とした。
「ごめんね」
湊が申し訳なさそうに笑う。
「今日は二人で飲みたいから」
「あ、そうなんですね!ごめんなさい」
女の子たちは少し残念そうに笑って、
自分たちの席へ戻っていった。
その背中を見送りながら、
湊が小さく息を吐く。
「……お前、ほんと余裕ないな」
「何が?」
「莉央ちゃんのことしか考えてない顔してる」
俺は返事をせず、
もう一度グラスを口に運んだ。
本当は。
もっと早く言えばよかった。
莉央が俺を好きだと
知っていた頃に。
今は他の女の子とは
連絡を取っていないが、
しつこく電話やメッセージを送ってきて
勝手に遊ぶ予定を取り付けるやつもいた。
莉央だけを見つめていたいのに…
自業自得とは、
まさにこのことだ。
「……はぁー」
思わずため息が漏れる。
「……莉央に会いたいな」
少し酔いの回った頭で、ぽつりと呟く。
「……好き」
「ん? お酒が?」
湊が少し首を傾げる。
「……」
「……もしや、俺?」
そう言って、自分を指差す。
「ごめん、俺好きなやついるから」
真顔でそう言う湊に、思わず眉をひそめる。
「……何言ってんの」
「いや、だって今好きって……」
「莉央のこと」
「……あぁ」
湊は納得したように頷いて、
また酒を飲み始めた。
俺は呆れながらも、
少しだけ笑った。
今は、何を言われても
どうでもよかった。
頭の中に浮かぶのは、
莉央のことばかりだった。
好きなんて言葉、
本人に言えばよかった。
格好つけた。
余裕ぶった。
他の女の子と遊んだ。
莉央が離れないと思っていた。
そして。
本当に離れてしまった。
今になって、
ようやく思い知る。
失ってからじゃ、
遅すぎるってことを。
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蓮side end
