すっかり日は落ち、気が付いたら私はホテルの一室のベッドに腰を掛けてただボンヤリ、何処を見ているわけでもなく見つめていた。

此処って…
そっか、私……


あの後健の部屋を飛び出し、彷徨い歩いていた私に声を掛けてきたのはカイくんだった。

カイくんは、何も聞かず
私を此処へ連れて来て、『隣の部屋に居るから、何かあったら呼んで。』それだけ言うと、出て行った…。


携帯電話は健と話すのが怖くて電源を切っていた。

でも頭に浮かんでくるのはあの時の何か言おうとしている健…

ちゃんと聞けば良かったという後悔と同時に、

あの女の顔も浮かんできて、沸々と沸き上がる憤りをどうしても抑え切れずに身動きが取れなくなっていた…