健は押し黙ったままだったけど、やっと何とか声が出た感じで

「凛、話しを聞いてくれない…」

その最後の言葉が出る前に私は遮った。

「もういい…
もういいよ、健
私見たんだ、あの日学校から健とこの人が車に乗って出掛けるの…
その後も何度も会っていたんでしょ?

健が話してくれなくても信じていたから、それでいいと思っていたのに…

何でイブの日に、健の部屋にこの人がいるの?

やり直すって何?

何でこの人なの!」


よりによって何で…?

目を閉じ最初の一言を発し、静かに瞼を開け、
耐え切れず、目からは涙が後から後から零れ落ち
声は震えて、最後の言葉は掠れていた。


私は涙を拭うことも忘れ
淋しさと悔しさで下唇をギュッと噛み締めて、
居た堪れなくなり
部屋から飛び出した。


何も考えられずに、ただ只管彷徨い歩いていると

「凛ちゃん?」

聞き覚えのある声に呼び止められた。