固まっていた健が、何か言おうとしていたのは分かったけど、カイくんの言っていた言葉が頭に蘇ってきて

「二人が昔付き合っていたっていうのは、本当なんだ…」

健の顔が見られなくて、俯いて、力無く続けて言った。

再び健が口を開こうとした時

「そうよ、健と昔付き合ってた。
それに、嫌いで別れたわけじゃなかった。

健のお姉さんと友達だった私は、健の受験勉強を見てくれるよう頼まれた

凄く大人びていて既に色気もあった健に直ぐに惹かれて付き合い始めた…

でも、夢中になればなるほど、自分は十歳も年上で、しかも既に凛が生まれていたし…
怖くなって逃げた…
健の前から姿を消したの

でも、ずっと忘れらずにいた…
だからもう一度やり直したいと思って此処に来たの。」


そう言ったのは、私を産んだこの世の中で一番嫌いな女だった。


な…に…?
いや…イヤ…嫌だ!!