何だ、居るんじゃない。
どうしたのかな?


取り敢えず小声で「お邪魔します。」と言って中に入る。

リビングには人の居る気配があった。

何しているのかな?


私は、リビングの扉を開け、両手一杯の荷物を置きながら

「もう、何回もインターフォン鳴らしたのに出ないし、鍵開いてたから勝手に入って来ちゃった。」

フゥと息を吐いて顔を上げた。

私の視界に、振り向いたまま動かない健と、ソファーから手をヒラヒラさせてニッコリ笑い掛けている女の姿が入って来た。

なっ、何で!

驚きと、怒りが同時に私の感情を支配した。

無意識に握っていた両手の拳にギュッと力を入れ

「…どうして貴女が此処にいるの?」

絞り出すようにやっと出てきた私の声は震えていた。