私は、なるべく人と接しないようにビクビクして過ごしている。

校舎裏の中庭の木陰が唯一リラックスできる場所で、読書していると落ち着く。

保健室の傍なので穏雅先生がちょこちょこ話し掛けてくれ、少し話せるようになった。


ある日、
あの日の先生の言っていた言葉の意味を聞いてみた。

「先生の前言ってた、眼鏡はずせるようにとか、心の楯とか…気になってて」

そしたら先生が

「歪み直した時に、矢萩の眼鏡は、度が入っていない事に気が付いたんだ。

それってきっと自分を隠すためなのかな?って

俺もそうだから…」

苦笑いしながら眼鏡をはずし、私にレンズを見せてくれた。