私もやっちゃんを強く抱き締め返し、「ごめん」の言葉と共に、涙が零れ落ちた。


そして私は、やっちゃんから私が健の家を飛び出した後の事を聞いた。


事の重大さに、カイくんの正体に愕然とし、後悔と申し訳なさで一杯になり、母親の私に対する想いを知り、また自分のことばかりで周りの人の想いに気付けない私は、
何て自分勝手で、子供なんだろうと腹立たしくなる。


そして、やはり
「ごめん。」
しか言葉が出てこなかった。

そんな私をやっちゃんは小突きながら

「それは私に言う言葉じゃないでしょ。

それから、今度からきちんと話しを聞いてから行動に移しなさいよ。」

いつものやっちゃんの口調に

「はい…、
すみません。」

と俯いて反省してみせるものの、安堵からなのか
何だか可笑しくて吹き出すと

「ちょっと!何笑ってんの?私の言ったことちゃんと聞いている?」

『もう』とふて腐れながらも、つられて何時しかやっちゃんも笑って、
二人で暫く笑い合っていた。