霧を払ってくれたあなたは、きっと分かっている。

「閑さん、俺が運びますよ」

と言いながら素早く椅子から立ち上がり閑さんからお茶を乗っけているトレイを受け取っていた。

何事もなくさらっと手助けをしている括史くんは、普段からこういった場面では積極的に手助けをしてくれる人なんだなと思っていて括史くんの人柄を感じられた。

「ありがとうね括史ちゃん」

括史くんに対してお礼の返事をした所で、閑さんがこちらを見てズボンのポケットに忍ばせていたのかサッと小さい紙とペンを取り出した。

「そう言えばさっきうまく聞き取れなかったんだけど、あなた名前なんて言うの?」

「あ、私は岡内霧美って言います」

「あなたの苗字って岡内っていうの?こりゃ驚いた」

私の名前ではなくまさかの苗字に触れてきたことに私も閑さんと同じ様に内心驚いていた。

こういうのって相手の名前を褒めたりするもんじゃないの?と私が今まで会ってきたご年配の事を思い出していたら、閑さんは目を見開いて嬉しそうに声を上げていた。

「いやー大分昔の事なんだけどね、このお店のよく来ていた女の子の名字が岡内っていう子だったのよ。と言うかあなたあの子に似てるような?」

「ちょっちょっと近いです」