霧を払ってくれたあなたは、きっと分かっている。

「ごめんね、少しからかいたくなちゃって」

と言いながら、私をお姫様抱っこから降りやすいように自分の背中を下げてくれて、私は、安全に降りられた。

イケメンからのからいかいは、心臓に悪いのでできればやめてほしい恥ずかしくて、活史くんの顔を直視することができなかった。

「…もう私こういうのに弱いからできればやらないで」

「って言われたら余計やりたくなるなー」

恥ずかしさからの発言で、やめてほしいと懇願したが、どうやら活史くんのいじりに熱を与えてしまったらしい。

やられっぱなしは少し悔しいので、私もからかい混じりにもう知らないよと言いぷいと顔を振り活史くんより早く歩き出した。

「嘘嘘やっぱ嘘だからー」

と後方から焦って追いかけてくる活史くんの声が聞こえて私は、思わず勝ったと思い笑ってしまった。


活史くんの言っていた目的地に少し歩いたらすぐに着いていた。

どうやら見た限り、大分年季が入っている店で表の木材の表札には、羽雲羽雲食堂と書いていた。

「えーとあれなんて読むの?」

「ん?あーあの表札のこと?あれはわくわくって読むよ」

「…なんか素敵だな」

随分と可愛いらしい名前に私は、思わず口走ってしまっていた。