「そういえば、まっきーってバスケ好きじゃん?」
「……まあ、そうだな」
山地くんが、唐突に今となってはわかりきった事を口に出した。

「某バスケット漫画の主人公に心酔したりしてた?」
「いや、別に」
「ふうん、中二病ではない……か」
「何だよ」ふっと鼻で笑って槇野くんが尋ねる。
「まっきー、髪の毛赤い時代あった?」
「はあ、ない。なんだそれ」
私の頭の中には某有名バスケットボール漫画の主人公が浮かんでいた。そして、目の前の槇野くんの髪を赤くモンタージュしてみる。
……似合わない……かな。サラサラの黒髪が格好いいし。

「まっきーが、赤い髪して、ヤンキーと歩いてたって目撃情報があったんだよ。ないよなー」
山地くんはもちろんただの噂だと思って言っただけなのだ。それなのに槇野くんは黙って何かを思い出しているようだった。

「え、まさか身に覚えあんの? 自暴自棄で踏み外した時期が……」
「まさかあ」と由紀恵がケラケラ笑う。
「あれだ」
槇野くんの言葉に由紀恵も笑うのを止めて
「まさか」ともう一度言った。

「ショーに参加させてもらった時だな。そん時のチームカラーが赤で、ミュージックがレゲエ系だったから……」
「ああ! 衣装がB系だったんだ! 」
「そうそう、髪もスプレーでカラーリング。1日で取れるやつ」

みんなが安堵のため息を吐いた。