「俺も……いい?」
おずおずと槇野くんが話し出したのは私もまだ聞いたことのない話だった。

「俺さ、本気でフリースタイルでトップとってやろうと思っててさ……でもゴールが恋しくなった。それで3on3のストリートの方ね、それに参加させてもらって、じゃあ体重軽い分、フットワークも軽いし、案外向いてるんじゃないかと思った。それならいっそ3×3(スリーバイスリー)を始めるかって思ったんだ。結局そうなると場所とメンバーが必要で、どこかに所属しなきゃならない。当たり前だけど……日本てストリートが流行らなかったのは場所がないからだって言うだろ? バスケットゴールが全然ないんだよ。ここ、珍しいくらい。砂地の公園にたまにあったりするけど……。体育館借りるとなると今度は金がかかる。おまけに滅多に空きがないから予約も取れない」

「ああ、砂の公園はちゃんとした練習は無理だね。体育館もなかなか無いなあ。確かに」
梨花子が相槌を打つ。

「何も知らなかった。甘かった。学校ってバスケやるには最高だなと」
「体育館あるしね。部活ってなると練習試合とかで他の体育館も押さえれるもんね」
「そうなんだよ。結局、部活だなって。勿論、環境の問題だけじゃなくて……バスケがしたい。どんな形でもバスケに携わりたい。今はその気持ちが強い。じゃあ、3on3やフリースタイルを逃げ道みたいに思ってたのかと……俺のこんなとこが無意識に誰かを傷つけるのかなって。フリースタイルや3on3をしようと思った気持ちは本物だったつもりで……」
そう言って、俯く。