「告った、告られた。カレカノ、上下関係、勉強ムズカシ」梨花子がふざける。
「韻を踏もうとしたね」
「踏もうとした」
由紀恵がケラケラ笑う。

「中学生だったんだよ、みんな。高校生になったんだよ。な、まっきー!」
山地くんが、槇野くんに優しいヘッドロックをかける。顔ちいさいなお前、なんて言いながら。

「そうだな……俺も、変わりたいと思う」
「そのままでも格好いいけど」
褒め上手な由紀恵は躊躇することなくそう言って
「顔の話じゃないよ、由紀ちゃん」って山地くんに怒られてたけど
「顔だけの話してないもん」と反論していた。
「ね、槇野、男バス入るっしょ!?」
私では言えなかった事を、こうやってごく自然に言ってくれる。現役でバスケを続けている梨花子だから言えることもある。やっぱり、ここに来てもらって良かったなとと思う。もう一押し背中を押す人がいて良かったなと思う。

「うん、そうしようと思う」
ごく自然に……槇野くんはそう言った。槇野くんはもうとっくに決めていたのかもしれない。だけどあと少しの踏ん切りがつかなかったんじゃないかな。

「俺さえいなければって思ってた。自分の存在が誰かのストレスになるって思うと、一人でいる方がいいんじゃないかって」
「それって、チームの誰かに言われた?」
梨花子の問いに、槇野くんはわずかに頷いた。