「へぇ、じゃあ、ホールディング! 唯、抱きついちゃえ」
梨花子も挑発に乗る。乗れなかった私は固まってオタオタするだけ。

「もーらい」パンッとボールを弾く音がして槇野くんの手にあったボールは梨花子が奪い、ガラ空きのゴール下で悠々とシュートを決めた。

のを、ぼーっと槇野くんと二人で眺めていた。やられたって顔はしていたけれど、同じく動かなかった槇野くんと顔を見合わせた。

「いいけど、別に」
「は!?」

自分の顔がみるみる赤くなるのがわかった。いいけどって、何?ファウル!?だよね。それとも……ホールディング(抱きついても)!?

シュートを決めた梨花子がボールを脇に抱えてニヤニヤ笑ってる。
「槇野ってさあ、絶対ムッツリだよね」
そう言われて絶句した槇野くんにざまあみろと心の中で言った。

「じゃあ、私にもホールディングOKだからね」やり返したつもりだったけど、ついでによくよく考えたら槇野くんはハンデのつもりで言ったのだから、私が槇野くんにハンデを与える意味は全くなくて……
「ああ、どっちかというと、抱き締められたいよね、唯は」
と、梨花子はますますからかってくる。早くもキャパオーバーだ。

「フリースロー対決にしない?」
それなら身長も男女差も関係ないし……
「そうだね、名案」
大して名案でもないのに、槇野くんもそう言って、梨花子がおかしそうに笑った。