河川敷に着くと、梨花子が槇野くんのバスケットボールにすぐに食いついていた。そのまま二人でバスケ話に花を咲かせていた。和気あいあいといった雰囲気に少しほっとする。私はベンチに座ってゴールの方へ歩いて行った二人を見ていた。どうやら、梨花子が槇野くんに何か勝負を挑んだらしい。

由紀恵は動く事もなく、バスケを始めた二人をぼーっと見ている。

「由紀ちゃん、ちょっといい?」
そう声をかけたのは山地くんで……これは私は遠慮した方がいいと察した。ベンチを二人に譲る為に立ち上がると、二人が気を遣わないで済むように、私は槇野くんと梨花子のところへ向かった。

ここでのバスケ経験は私も入れて3人だし、そうしても不自然じゃなかったから。
「私、審判しようか」
「ダメ、唯も参加。槇野、ハンデで2対1ね」
「ええ、私も!?」
と、準備する間もなく、ボールが飛んでくる。キャッチしようと手を伸ばして触れる一瞬その前に槇野くんの長い腕が伸びてくる。ちょっと得意気な目がすぐ近くにあって
「甘い。そうはいかない」
いつもよりキッと上がった目尻、それからフリースロー辺りまで戻ると。ゆっくりとドリブルで体勢を整えた。そのままドリブルでフェイント1つ。

パシッとボールは簡単にリングに入ってネットを揺らした。

「ああ~、あっさり。やっぱ背あるしなあ」
梨花子は悔しそうに地団駄を踏んだ。私は全く何も出来ずにここにいただけだ。

「ファウルでもなんでもしてくれていいけど?」
ボールを持った槇野くんは水を得た魚だ。いつもより断然饒舌だ。別人並みに、挑戦的。