「由紀恵も山地のこと好きだよね?」
それこそ、そんなの当たり前だとでもいうくらいサラリと梨花子は言った。動揺したのは私で……たった今、そうなのかなーとか、そうじゃないかなーってレベルで思ったくらいだったから。だけど、もっと動揺した人が隣にいて、それはもう見ていて気の毒なくらいの動揺だった。
「やっえ、は!?」
それこそ頭のてっぺんから爪先まで真っ赤になったんじゃないかってくらいに憔悴している。自分で気づいてなかったのかなって思ったけれど……両手で顔を覆ってしゃがみこむと
「もう、やだー。梨花子は鋭いから、やだー」と今にも泣きそうだった。

ということは、由紀恵は自分で山地くんのことを好きだとわかっていたのだろう。

「そっかあ、自分の好きな人が、可愛い女子に告白されてたら、落ち込む。ねえ、唯。槇野が誰かに告られてたら落ち込むよねえ!?」
「え!あ、うん。嫌だな、嫌!」
急に振られて、驚くし、もう梨花子の中で私が槇野くんを好きな事は揺るぎない事実なのだろう。
「あ、でもさあ、じゃあ山地くんが由紀恵を避けてるのって……何で?」
「さあ、彼女が出来たからじゃない?」
由紀恵は投げやりに言う。
「いやいや、山地に限ってさ」
「でもさ、わかんないじゃん! 彼女に『私と仲良くしないで』って言われたかもしんないじゃん」

こんな由紀恵は初めて見たし、何て言っていいかわからなかった。