今だけ。そう思って私も、槇野くんの元へと駆け寄った。ポンッと下から槇野くんのボールを奪うと頭の上に掲げて見せた。
「わーい! スティール!」
槇野くんも笑う。

「宮原さんポジションはガード?」
「そうだね、そんなに背が高くないし。槇野くんはセンター?」
「そうだね、4番か5番」
「背、高いもんね」
「中学ではね。高校入ったら……そうでもないし、大学行ったら俺の背だとセンターはキツい。190センチある人なんてザラだし2メートルだって越えてくる。体格だってどっしりしてるし、完全に当たり負けする。あ、大学のリーグ戦見たことある!? 俺この前さあ……」
急に槇野くんの顔がキラキラしだして、嬉しくなって微笑む。

「あ……」
槇野くんは続きを話さずにしゃがんでしまった。

「何?」
また耳まで赤い。
「語った……」
「んんー?」
「語ったよね、俺。今、語った……」
「ええ、いいよ語ってよ」

そう言ったのに大きな手で顔を隠してしまった。
「もう、恥ずい」
「いいよ、好きなんだね、バスケ」
「うん……好き」
「そっか」
「じゃあ、もうちょっとだけ」
槇野くんは空を確認し、そう言った。

まだ少し時間がありそうな空だった。