「ああ、ほら落ち着いて。先ずはボールと友達にならないと」
「うん」
もう一度ボールを掴んだ……けど、あれ?なぜか槇野くんはそっぽを向いていて

「どうしたの?」その顔を覗きこむ。ちょっと……耳が赤い。

「ちょっと見るな、今……恥ずかしいから」
「……何が」
さっぱりわからなくて、私は見ることをやめなかった。

「『ボールと友達』とか!」
……ああ!
「ちょっとマジ恥ずい」

そんな槇野くんにやっぱりおかしくなって、私はお腹を押さえて笑い続けた。

ひーひー言いながら体勢を立て直したけれど
「笑いすぎて力が入らない」と言うとボールは取り上げられてしまった。

「いいんだよ、俺、友達いなかったし、ボールが友達だったのっ」
ふて腐れて、シュート練習に行ってしまった。私は何も気にしなかったのに、自分で言ったんじゃん。まだ耳まで赤い。いや、全部赤いのか。

いつの間にか空は赤くて、赤い中でシルバーブルーのボールがとても綺麗だった。すごく綺麗なものを見せて貰っている。綺麗なシュートフォームで、赤い空にシルバーブルーが弧を描く。今だけは、この美しさを一人占めしたい。私だけが知っている彼の姿はまぶしいくらいだった。もうすぐここも賑やかで楽しい時間になる。

新たな関係がまた、始まろうとしている。