「パチンと消えたんだ……」
私は顔の前で合わされた手を見ていた。消えた何かが見えそうな気がして。
「引退して寂しいなって言ったんだ、そしたらそいつ『ほっとした』って。それもわからなくはないなあって俺も思った。じゃあ『もういいよ』って言われて。全く意味がわからなかった。『同情して俺といたんだろ』って『これでもう惨めな思いはしなくていい』って……。俺は単純にそいつが好きで、そいつといると心穏やかでいられたから、一緒にいた。でも向こうは俺といることが、ストレスだったんだ。そういえば先輩たちにもよく言われた『お前さえいなければ』って。先輩には何言われても平気だった。そいつがいたから。でもそいつに言われたら……」
背の高い槇野くんが小さく見えた。撫でようと伸ばした手は躊躇して膝の上で強く握った。痛いくらい気持ちが流れてきた。
「今までの軌跡とか、一緒に作り上げてきたものとか思い出……一緒に、頑張った達成感、全部が急に偽物だった気がして……自分の中で何かがパチンと消えたんだ」
三年間、何だったんだろって……。小さな消え入りそうな、声。
「誰かにとって、自分の存在がストレスになるって、そいつにとって俺のせいで3年が辛かったなんて……思ってもみなかったんだ」
私は顔の前で合わされた手を見ていた。消えた何かが見えそうな気がして。
「引退して寂しいなって言ったんだ、そしたらそいつ『ほっとした』って。それもわからなくはないなあって俺も思った。じゃあ『もういいよ』って言われて。全く意味がわからなかった。『同情して俺といたんだろ』って『これでもう惨めな思いはしなくていい』って……。俺は単純にそいつが好きで、そいつといると心穏やかでいられたから、一緒にいた。でも向こうは俺といることが、ストレスだったんだ。そういえば先輩たちにもよく言われた『お前さえいなければ』って。先輩には何言われても平気だった。そいつがいたから。でもそいつに言われたら……」
背の高い槇野くんが小さく見えた。撫でようと伸ばした手は躊躇して膝の上で強く握った。痛いくらい気持ちが流れてきた。
「今までの軌跡とか、一緒に作り上げてきたものとか思い出……一緒に、頑張った達成感、全部が急に偽物だった気がして……自分の中で何かがパチンと消えたんだ」
三年間、何だったんだろって……。小さな消え入りそうな、声。
「誰かにとって、自分の存在がストレスになるって、そいつにとって俺のせいで3年が辛かったなんて……思ってもみなかったんだ」



