「卵、買えた?」
ベンチに座るや否や、学校の時よりもっとニヤニヤしてそう言う。
「言うと思った。今日は我が家はゆで卵だよ。私、二つは食べるよ」チラリとマンションへと視線を走らせる。
「ふっ、大丈夫だった? 昨日。 怒られた?」
「大丈夫、だよ」
からかわれたことも、未だ悔しくて、私はつっけんどんに返事した。
「……あれ?」
怒ってるの?とばかり槇野くんは俯いていた私の顔を下からのぞきこむ。
「わっ」近い!この人……何!?
慌てて跳び跳ねるように身体一つ分離れて座った。こちらは心臓バックバク。隣は涼しい顔。
しばらく沈黙が続いた。何でか槇野くんもちょっとむくれていた。
「あれ、何て答えたの?」沈黙は破られたものの、槇野くんの声はいつもより低い。
「あれ……とは」
「《《りっくん》》の質問」
トゲのある言い方にちょっとこちらも気持ちが逆立って
「さあね」なんて、昨日の槇野くんみたいに大袈裟なジェスチャーでおどけて見せた。それに槇野くんもイラッときたのがわかった。
失敗したなと思ったのは言った後で、そこで私が普通に答えてさえいれば
「槇野くんは?」って彼女の有無を問えたこと。その上、不穏な空気になってしまったが故に……槇野くんが昨日の話をまだ私に“聞いて欲しい”のかどうかも危うい。
ベンチに座るや否や、学校の時よりもっとニヤニヤしてそう言う。
「言うと思った。今日は我が家はゆで卵だよ。私、二つは食べるよ」チラリとマンションへと視線を走らせる。
「ふっ、大丈夫だった? 昨日。 怒られた?」
「大丈夫、だよ」
からかわれたことも、未だ悔しくて、私はつっけんどんに返事した。
「……あれ?」
怒ってるの?とばかり槇野くんは俯いていた私の顔を下からのぞきこむ。
「わっ」近い!この人……何!?
慌てて跳び跳ねるように身体一つ分離れて座った。こちらは心臓バックバク。隣は涼しい顔。
しばらく沈黙が続いた。何でか槇野くんもちょっとむくれていた。
「あれ、何て答えたの?」沈黙は破られたものの、槇野くんの声はいつもより低い。
「あれ……とは」
「《《りっくん》》の質問」
トゲのある言い方にちょっとこちらも気持ちが逆立って
「さあね」なんて、昨日の槇野くんみたいに大袈裟なジェスチャーでおどけて見せた。それに槇野くんもイラッときたのがわかった。
失敗したなと思ったのは言った後で、そこで私が普通に答えてさえいれば
「槇野くんは?」って彼女の有無を問えたこと。その上、不穏な空気になってしまったが故に……槇野くんが昨日の話をまだ私に“聞いて欲しい”のかどうかも危うい。



