シルバーブルーのボールがくる……くる。
ああ、やっぱり駄目だ。私には全然うまく回せない。

「何でだろう」
隣にいる槇野くんが真顔で聞いてくる。
「……槇野くんみたいに、センスないもん」
「こういうのは、センスじゃなくて練習あるのみ! でしょ」

そう言われてグッと返す言葉がなかった。だって、練習してないもん。
シルバーブルーのボールは相変わらず私が《《預かって》》いた。

ごくごくたまに持ってきてって言われる時に槇野くんの手に渡る。
部活でぐったりした後に、ここで本気で練習をするわけなどなく……ここは、私たちのデートスポットになっていた。
とはいえ、うちのベランダから丸見えなので何も出来ないけれど。
って、“何も”って何!?別に何もしないけど。だって、付き合ったからといって全然変わらない、そんな時間を過ごしていた。

日が長くなったし、梅雨にもなるし、暑いし、でも会いたくてここにいた。

教室、体育館、河川敷。1日一緒にいるんだけど……二人の時間は貴重だから。

「そう言えばさ、唯」
不意にそう言われて、胸がドキンと高鳴った。何、何、何?

「……山波さん、彼女いるから」
「へえ? 何急に。知ってるし」
「……そっか。ならいいや」
変な人!

「可愛い人でしょ。よく一緒にいるよ」
「そうそう、可愛い」

……可愛いとか、結構平気で言うよね。下世話! 自分の事を棚に上げて、ぶつぶつ言った。