「唯は?」
「私も……槇野くんが好き」
たぶん、初めて槇野くんが私の前の席に座った日から。
槇野くんは泣きそうになった私の頭を優しく……ポンポン……ポンポン
「え、ちょっと、ドリブルしないでよ」
「あはは! だって、すっごい嬉しい」
そう言うと最近よく笑っている槇野くんからも、見たことがないくらい、素敵な顔で笑った。
槇野くんはくるくるくるくるボールを回すとパンッとキャッチして止めた。
「今までで一番、格好つけるんで、見ててもらえませんか」
そう言って、シルバーブルーのボールを片手に歩きだした。少しづつ加速する。
その場所まで来ると、踏み切る。
来る!私はひゅっと息を止めた。それから、瞬きも止めた。
ふわり浮き上がり、空中で一瞬時を止める。何もない場所に影が現れる。
青と、茜色の混じった空。そこに綺麗な弧を描く。
あんな風に跳べたら、世界はどんな風に見えるのだろう。
いいなぁ。
羨ましいと思わないわけじゃない。だけど、あんな風に跳べる人をこうやって私は見ていたいと今は思う。見る側で良かったと思う時もある。それを教えてくれたのは、槇野くんだった。
きっと、今日はあのシュートを決めても彼は俯かないだろう。
くるくるくるくる、私の胸の中でシルバーブルーのボールが回る。くるくるくるくる。
私はあんな風には跳べないけれど……。
──end
「私も……槇野くんが好き」
たぶん、初めて槇野くんが私の前の席に座った日から。
槇野くんは泣きそうになった私の頭を優しく……ポンポン……ポンポン
「え、ちょっと、ドリブルしないでよ」
「あはは! だって、すっごい嬉しい」
そう言うと最近よく笑っている槇野くんからも、見たことがないくらい、素敵な顔で笑った。
槇野くんはくるくるくるくるボールを回すとパンッとキャッチして止めた。
「今までで一番、格好つけるんで、見ててもらえませんか」
そう言って、シルバーブルーのボールを片手に歩きだした。少しづつ加速する。
その場所まで来ると、踏み切る。
来る!私はひゅっと息を止めた。それから、瞬きも止めた。
ふわり浮き上がり、空中で一瞬時を止める。何もない場所に影が現れる。
青と、茜色の混じった空。そこに綺麗な弧を描く。
あんな風に跳べたら、世界はどんな風に見えるのだろう。
いいなぁ。
羨ましいと思わないわけじゃない。だけど、あんな風に跳べる人をこうやって私は見ていたいと今は思う。見る側で良かったと思う時もある。それを教えてくれたのは、槇野くんだった。
きっと、今日はあのシュートを決めても彼は俯かないだろう。
くるくるくるくる、私の胸の中でシルバーブルーのボールが回る。くるくるくるくる。
私はあんな風には跳べないけれど……。
──end



