校門のところでは、時々工藤先輩の彼女が待ってて、時々渕上さんが待ってる。

 唯を見て
「あれ、お前の彼女だったんだ」って言われた時は、
「はい」
 って言ってしまった。何か渕上さんは唯の好みだから、しっかりディフェンスしておきたい。って、渕上さんも彼女を待ってるんだけどさ。

 唯も驚いた顔をしているのに“違います”って言わなかった。

 クラスでも、部活でも、いつの間にか、俺と唯は公認になって、みんな付き合ってると思ってるだろう。

 周りから固めてしまったけど、まだ伝えてない。

唯に伝えたいことはそれこそ山ほどあって、どう伝えていいかわからない。とても、言葉に出来ないくらいだ。

 上手く言えないけど、伝えたいと思う。ちゃんと、改めて。

親は受験に失敗して落ち込んだんだろうと思ってる。本当の事を話す気はない。ただ「俺、この学校で良かった」とだけ伝えた。本当の事だから。

この高校で良かった。あのクラスで良かった。唯の前の席で良かった。思うことはたくさんあって、少しまとめるからもう少し待っていて欲しい。

俺のシルバーブルーのボールは唯の部屋にあって、出番を待っている。鈍く光るボールは外に出すと、部屋で見るよりずっと綺麗だった。