「冷たくないよ、普通だよ」
「……そっか。全然こっち見ないから」
「私、後ろの席だもん」
「まあ、そうだけど……ねえ、やっぱり……その、何か悩んでるなら聞きたい」

 宮原さんが、笑うのを止めて俺を見上げる。

「俺が悩んでる時、聞いて貰ったし……」
「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫」
 そう言って立ち上がってしまった。そこにまるで線を引かれた気がした。

 どう伝えたらいいんだろう。山地たちをここへ連れてきたこと嬉しかったけど、寂しかった。それをどう伝えたらいいんだろう。

「ここも、全然来ないし」
「え、だって必要ないでしょ? 槇野くんの居場所はここじゃないし」
「……居場所?」
 足を止めて振り返る。

「ほら、ここに来なくても体育館でバスケ出来るでしょ? だから、来ないかなって……」
 困ったように、宮原さんはそう言った。宮原さんは、俺がここへ来てたのはバスケをするためだって、思ってる。それはそうで、合ってるんだけど、それだけじゃないって知って欲しかった。宮原さんにも、そう思ってて欲しかった。

なのに、そう思ってないのは明らかで、伝わってないのも明らかで……

 ボールさ、渡したんだから気づいてもよくない?

「……元々、ここでバスケ、ほとんどしてなかったよね? 宮原さんといる時は」
「確かに……ごめん、邪魔してた?」
 ため息が出る。何でこんなに鈍いの?

「そうじゃなくて、何かずっと俺ばっかり……」
「ばっかり? だから、別に槇野くんの為もあったけど、自分の意思だから私の事は……」
「そうでもなくて!」
 俺が伝えるの、下手すぎるのか。