工藤先輩は人望もある。何より、絶対的な上手さが誰にも何も言えなくさせる。アドバイスされて“じゃあ、おまえがやってみろよ”ってならない。工藤先輩の方がもっと上手くやるだろうから。

 でも、山波先輩は違う。“俺の方がうまい”アドバイスされるとそう思ってしまう。

 ──

「快晴!」
「ここ、お前、また抜けてる」
「……あ、ごめん」

 工藤先輩はキャプテンで人望もあるけど、人なつっこい感じで、緩いし、締めるのがあまり上手く行かない。そこは副キャプテンとか、他の先輩が代わりにやってる。それに、山波さんも。

先輩たちの山波先輩に対しての絶対的な信頼とリスペクト。何でだろうって思っていた。バスケ、上手くないのに。

「……山波先輩って何で主務されてるんですか?」
 工藤先輩にそう聞いた事があった。試合に出れないからだと思ってた。

「俺たちの学年から一人主務を選出しなきゃならなかったんだ。コーチが指名せずに、自分たちで決めろって。主務になったら試合には出れない。ならなくても出れないやつは出れない。けど、主務になると可能性すら0になるんだ。それなら辞めるってやつすらいたのに、山波が『俺がやる』って。コートに立たなくてもチームに貢献したいって……言ってくれた。すごいなって思う。勇気、自己犠牲、誰よりバスケが好きなくせに。あいつは『好き、だから。かな』って、笑ってた」