バスケットボール部はこの辺りではK高(うち)かN高がレベルが高い。ちょっとした話にすぐ名前が出る人がいた。

 N高の渕上(ふちがみ)雅紀《まさき》。ポジションも同じ。背も俺くらいだ。

「覚えとけ、いいプレイヤーだから」
主務の山波先輩がそう言ってデータを見せてくれた。

背もほぼ同じ。そう思っていたけど、体重が全然違う。……俺、細いもんな。すぐに増やせるくらいじゃない。

「お前、ポジション被るから、絶対お前じゃ渕上から点取れないから、N高と当たる時は快晴を使うことだけ考えて」

 ……確かに工藤先輩はうまいけど、俺だって……山波先輩の言葉にカチンときたのも確かで、試合出ない人にそんなこと言われても、そう思って気付いた。“試合出ない人”って、無意識に思ってた。

 山波先輩は3年生だけど、俺より20センチくらい背が低くて練習には参加してるけど、試合には出ない。試合に出れるプレーヤーじゃない。だから、見限って、コーチから主務にされたんだと思う。主務で登録したらプレーヤーとしては試合に出れない。でも、部活を辞めずに主務として部活に貢献してる。
 それって、どれだけ辛かっただろう。

俺は、試合に出れなくなったら辞めると思う。この人は何で辞めないんだろう、そんな風に思ってしまった。