日常は、何でこんなことで……と思うようなことであっさりと壊れた。

バスケでの推薦はほぼ確定だったと思う。スカウトされて、そこへ行くつもりだった。

なのに、セレクションの練習会でボロボロになって、無名の俺じゃあ、そこで終わり。
自己推薦での入試も駄目だった。

滑り止めのつもりの公立校高校は、卒業出来たらいいと思っていた。だけど、学校に通わないと卒業出来ない。中学までとは違う。出席日数が必要だ。
頭ではわかってる。強豪高に入れなかったからじゃない。意味が見いだせなかったんだ。

何のために、俺は行かなきゃならないんだろう。今までどうやって人と話していたんだろう。そんな時間があるなら、こうしてボールを回していたい。
一人でいたい。ずっと、一人で。そしたらもう誰も傷つけずに済むのだろうか。

「今の、左? どうなってんだろ」
そこで動画を止めた。

「反対の、角度から見えないかな」
そこから派生した動画を漁る。ボールは俺の上で生き物のように動く、練習すればするほど上達する。傷つくこともない。

「あった、これっぽいな」
スマホのバッテリー残量が無くなって、充電しながら再生する。何度も何度も。

動画を止めては、そこでやってみて……くるくるくるくる。

これにだって意味はないかもしれない。それでも、ずっとそうしていた。