晴れ間のない濃い灰色の世界で、このシルバーブルーのボールだけが唯一、微かに光る。こんなに靄がかかっては、俺に見えるのは目の前のこれくらいだ。
右手で掴んだオレンジ色のリング。その感触が思い出せない。確かに、掴んだ。そんな日があったのに。
──4月
桜が散った校庭を歩いた。今年も桜が咲いたのだろう。そんなことも知らなかった。
「入学式、晴れて良かったね」
そんな声がどこかから聞こえてくる。……晴れてるんだ。俺には曇ってるようにしか見えないけど。
入学式が終わると、校庭には俺しかいなかった。当たり前だ。入学式が終われば、みんな教室に行くのだから。
学校の門を一人くぐる。誰も知らない学校は、誰も俺のことを知らない。
俺に見えるのは、この……指先でくるくる回したボールだけ。それこそ1日中、俺の指先で回ってるみたいだった。鈍い、光。だった。それでも、唯一の救いだった。
右手で掴んだオレンジ色のリング。その感触が思い出せない。確かに、掴んだ。そんな日があったのに。
──4月
桜が散った校庭を歩いた。今年も桜が咲いたのだろう。そんなことも知らなかった。
「入学式、晴れて良かったね」
そんな声がどこかから聞こえてくる。……晴れてるんだ。俺には曇ってるようにしか見えないけど。
入学式が終わると、校庭には俺しかいなかった。当たり前だ。入学式が終われば、みんな教室に行くのだから。
学校の門を一人くぐる。誰も知らない学校は、誰も俺のことを知らない。
俺に見えるのは、この……指先でくるくる回したボールだけ。それこそ1日中、俺の指先で回ってるみたいだった。鈍い、光。だった。それでも、唯一の救いだった。



