「いや、俺さ……『ボールと友達になる』って表現は使った事あったんだけどさ」
 思わず私は吹き出す。槇野くんはそんな私をちょっと睨んだ後
「『バスケが恋人』の方が、友達より進展してて、大人の関係だなと……ちょっと負けた気がした。あ、でも『バスケが恋人』って二股になるのかな? 」
 と、眉を下げて私に伺いを立てた。

「は!? いや、私も……バスケは、好き……だし」
「……槇野って時々すっごい天然だよね」
「え、いや……そうかな」
「可愛いー! まっきーのこういうとこ、好きー!」
 山地くんは時々おばちゃんになる。

 私は恥ずかしくて熱くなった顔を手でパタパタと扇いだ。

「唯、顔赤いけど、熱い?」
 槇野くんが私の顔に触れる。これは、わざとなのか、それとも天然なのか

「全然熱くない」と、槇野くんの方を一切見ずに答えた。
「やっぱり、羨ましいな……」と梨花子が呟いた。

 山地くんは、山地くんだけ特別にケチャップを小瓶に入れたの(可愛いラッピングがされていた!)を由紀恵から貰って上機嫌だ。由紀恵は上機嫌な山地くんに上機嫌だ。

 もうすぐ、夏がやってくる。そんな高校生活のいつもの風景だ。