槇野くんは、その日から、私を『唯』って呼ぶようになった。
私はまだ『槇野くん』って呼んでる。私たちはまだ付き合っていない。
『まだ』とか言えちゃうくらい調子に乗っているのは、部活の帰り道、工藤先輩が『槇野の彼女?』って訊いて来た時、『まだ彼女じゃありません』って槇野くんが言ったので『まだ』と言えちゃうのだ。
校門のところで石橋先輩の帰りを待ってる渕上先輩に二人並んで帰っているのを見られた時も『あれ、お前の彼女だったんだ』って言われて、『はい』と間髪入れずに肯定した槇野くんに、あれ?とは思ったけれど。たぶん……《《まだ》》彼女じゃないと思う。
最近はこの《《まだ》》の方に自信がなくなってきたけれど……。
一応、槇野くんには伝えた。
「ごめん、渕上先輩に似ている俳優さんが好きだって言ったの、適当で覚えてないの」と。槇野くんはすごい複雑そうな顔をして
「そうか」と言った。
────
「唯! 女バス終わった?」
「うん、あと少し」
「オッケー、待ってる」
当たり前みたいに一緒に帰るようになった。高校生活は何かと忙しくて、100万個くらいの集合体で出来てるんじゃないかと思うくらい。だけど、大好きなバスケと、大好きな友達と、大好きな……《《まだ》》彼氏じゃない槇野くんのおかげですごく充実した時を過ごしていた。
一言で言うと、楽しくて仕方がない。そんな毎日だった。
私はまだ『槇野くん』って呼んでる。私たちはまだ付き合っていない。
『まだ』とか言えちゃうくらい調子に乗っているのは、部活の帰り道、工藤先輩が『槇野の彼女?』って訊いて来た時、『まだ彼女じゃありません』って槇野くんが言ったので『まだ』と言えちゃうのだ。
校門のところで石橋先輩の帰りを待ってる渕上先輩に二人並んで帰っているのを見られた時も『あれ、お前の彼女だったんだ』って言われて、『はい』と間髪入れずに肯定した槇野くんに、あれ?とは思ったけれど。たぶん……《《まだ》》彼女じゃないと思う。
最近はこの《《まだ》》の方に自信がなくなってきたけれど……。
一応、槇野くんには伝えた。
「ごめん、渕上先輩に似ている俳優さんが好きだって言ったの、適当で覚えてないの」と。槇野くんはすごい複雑そうな顔をして
「そうか」と言った。
────
「唯! 女バス終わった?」
「うん、あと少し」
「オッケー、待ってる」
当たり前みたいに一緒に帰るようになった。高校生活は何かと忙しくて、100万個くらいの集合体で出来てるんじゃないかと思うくらい。だけど、大好きなバスケと、大好きな友達と、大好きな……《《まだ》》彼氏じゃない槇野くんのおかげですごく充実した時を過ごしていた。
一言で言うと、楽しくて仕方がない。そんな毎日だった。



