──翌日
「さあ、お待ちかねの席替えするぞー」
 マッセンが朝のHRでそう言って、クラスがざわざわと盛り上がった。

「寂しい~」と由紀恵が言ったけど
「由紀ちゃん、隣なれたらいいね」

 と、山地くんが大きな声で言って、マッセンから
「はい、山地は俺の隣~」とか言われていた。

 マッセンは箱の中のクジをぐるぐるとかき混ぜた。
「クジ作るの面倒くさいから隣のクラスから借りてきた。村山先生のお手製ゆえ、大事に引くようにー」
 ゆるいマッセンらしい。
「はーい!」

 私はギリギリまで槇野くんの背中を拝見していて、結局クジでは槇野くんとは一番遠い席でも一番近い席でもない、そこそこ近いという微妙な配置になった。山地くんと由紀恵も。梨花子もそんな感じ。

 もう席替えでも私たちの友情(キラリ)が壊れたりはしないから。
 休み時間になったら誰ともなく集まって、高校生活の集合体の一つみたいな時間を過ごしていた。

「あのさあ」
「何、りっくん」
「俺、思ったんだけどね」
「うんうん、何?」
「高校生活における集合体のうち、最も大切なもののひとつ……が、もうすぐあるんだけど、みんな知ってた?」
「……うわぁ」
「テスト!!」
「俺、勉強もそんな嫌いじゃない」
「まっきー! 何かお前色々ムカつくー!」
「そうだ、そうだ!ムカつくー!」
 梨花子が加勢する。てことは梨花子も勉強は苦手とみた。
「あはは! 教えてあげるよ、りっくん」
「マジ!? ありがと、由紀ちゃん」
「ええ、私にも教えてよ、ねえ、唯!?」
「……ごめん、私も勉強苦手。運動もダメ……あれ、私……」
 何も良いとこない?まさか。

「じゃあ、唯は俺が」
「あ、お願いします」

 ……ん?

「私は~!?」梨花子が叫んで、由紀恵がケラケラ笑った。