そんな二人を微笑ましく見ていた槇野くんに
「まっきーも全然休まなくなったね」
 ちょっとタブーっぽいセリフも山地くんが言うと、すんなり聞き入れられる。嫌味がないからだろう。何より、全然休まなくなった槇野くんを嬉しいと思っているのが伝わるからだろう。

「うん、学校……楽しいから」
 照れ臭そうに、でも素直に槇野くんが言う。

「もー! 可愛いわー! この子ー! 好きー!」
 山地くんは時々おばちゃんになる。そんな山地くんに由紀恵がケラケラ笑う。

「ほんと、ほんと。ダメになるきっかけも些細な事なんだろうけどさ、戻るきっかけも些細な事だったりするんだろうね」
 梨花子も嬉しそうだ。

「そうそう、楽しくなるきっかけなんて何でもいいんだよ。部活とか友情とか言っちゃうと大それていて、大袈裟だけどさ、ちょっと面白い出来事とか、毎朝見かける女の子とかそんなんでいいんだよ」
 山地くんがいいパスを投げて、案の定梨花子に
「山地は今は……だよね」と由紀恵の方をチラリと見てからかわれる。

「いいじゃないか、別に」と、二人揃って頬を染めた。

 でも、私もそうだから……チラリと槇野くんを見ると向こうも私を見ていて、パッと目を逸らした。梨花子に見つからなくて良かった……。