「みんなの時間と、宮原さんと二人の時間どちらもあるならいっかって思ったけど、宮原さんはそうでも無くて……。だから、ボール渡したのに、全然来ないし」
「え、槇野くん、来てたの? だって、部活は?」
「他の部活との兼ね合いで体育館使えない日とか、三年生の都合で自主連の時とか……河川敷なら走り込みって言い訳になるし……でも宮原さん全然来なかった。ベランダにさえ出て来ないし」
「だって、部活で忙しいと思ってたし……。もう来ないと思うって言ってたじゃない? あ、ボールじゃあやっぱり返す」
「だから! そうじゃなくて、もう嫌になる。今日だって、俺を見に来たのかなとか……ああもうめっちゃ恥ずかしいわ。何これ。先に……帰っちゃうし。もう身に沁みて俺に《《そういう》》興味ないって思い知ったよ。自分がこんなに自惚れ強いなんて知らなかった……」

 やっぱりよくわからないけれど、槇野くんも二人の時間を特別だと思ってくれていた……ってこと?だよね。そう言ったよね。

「確かに、工藤先輩も渕上先輩も、格好いいけど! ……彼女いるし」

 どこからこの二人が出てくるんだろ。

「知ってるよ、超可愛い彼女と超綺麗な彼女ね。槇野くんもそう言ってたよね」
「……確かにそうだけど……」
「じゃあ、今度からここへ来るときは誘ってよ」
「……」
 槇野くんは固まってしまった。
「え、何? なんかおかしい?」
「いや、すごい正論」
「うん、そうして!」
「……ねえ、宮原さん……その」
「あ、カケル、うんちだっ」

 カケルの出したものを処分した。
「あ、ごめん槇野くん。何?」
「ふっ、いいや、もう。誘うわ」
「うん、そうして」

 この日は久しぶりに空が濃紺になるくらい河川敷にいて

「遅い~!」と、祖母に怒られ
「遅い~!」と、母に怒られたのだった。