何で……
 何で別れ際にそんな事を……言うかな。一気に疲労感が溢れて、ふらふらと家まで歩いた。

「お帰り、どうだった?」
 声をかけてきた母親に

「疲れた……」と一言言って、部屋に入るとベッドへ倒れ込んだ。

「試合、見て来ただけでしょう?」
 リビングから母親の納得いかないような独り言が聞こえた。

 もう、何あれ。どういうこと?『ふうん』って何。渕上先輩、誰に似てんの?もう、槇野くんわけわかんない。

 寝転んだまま、棚に飾ってあるシルバーブルーのボールをピンッと人差し指で弾いた。

「あんたの持ち主、何考えんだよっ」

 誰かを直ぐ可愛いって言うし(いや、実際可愛いって言ってた人は超可愛いから、それであってるんだけど)

 綺麗な人の名前、ちゃんと知ってるし(いや、石橋さんは確かに有名だけど!)

 とにかく何を考えてるのか。
 ……面食いだな。わかったのはそのくらいだ。面食い。で、ちょっと……私には意地悪だ。確かに、私はあの人たちみたいに可愛くはないけどさ。

 自分はバスケも上手くて、充実して、顔も格好いいからってさ。

 何考えてるのかわからない。いつまで置いといたらいいのよ、この……
「派手地味ボール!」
 わけのわからない気持ちで、もう一度ボールを指で弾いた。パンッと音がしてピーンと超音波みたい小さな音の余韻が残った。

「爪、痛っ!」

 GWでしばらく休みで良かった。