この中で見たら、槇野くんでさえそんなに背が高く見えない。ということは、まわりもみんな背が高いのだろう。

あそこに立ってる槇野くんに鳥肌が立つ。工藤先輩に呼ばれ、背中に手を当てて何か言われている。槇野くんは頷くとベンチへと戻って行った。

 試合開始(TIP-OFF)
 ジャンプボールでうちのチームにボールが渡った。相手チームの戻りが早い。こちらも冷静にボールコントロールしている。
「1本、大事にしよう」工藤先輩の声が聞こえる。イチゴミルクを飲んでた人とは別人みたいだ。

 一瞬、ピッと弾くように放たれたボールをキャッチすると同時にシュート体勢に入る。

 一人抜いたと思ったのに、そこにはあの5番がゴール下にいて、シュートは外れた。それをひょいと工藤先輩がフックシュート。5番の渕上先輩が追い付くのを避ける為のフックだ。

「……すご」
 私にはこれしか言えなかった。

「でしょ。わかってくれる? 工藤先輩のイケメンぷり。それと5番の……」
 そこからは梨花子は声のトーンをすごく落とした。
「石橋先輩、怖いのよ……良い人だけど。焼きもち焼きで……」

「ふっちー、マジ格好いい」
「ちょっと、紗香(さやか)聞こえるってば!」
「いいじゃん、朱里(あかり)も工藤格好いいーって言っちゃえ」
「もう! 快晴くんの邪魔になったら嫌だもん」

 二人の会話が聞こえて来て、二人の性格を察する。思わず吹き出してしまって……でもやっぱり可愛い人たちだなと羨ましく思った。私は堂々ともこっそりとも言えないな。

 ……槇野くん、格好いいーって思うだけだ。