ジュースの自動販売機は1階の中庭を横切ったところにしかなくて、少し頭を冷やす時間が出来て良かった。

 イチゴミルクのボタンを押すと、ガコンと下に落ちる音がした。手を差し込んで取り出すと、そこの段差に腰かけてストローを差す。イチゴミルクは人気がないのか、よく冷えていた。

「喉渇いてるのに、バナナミルクはないわ。てか、買ったのこれイチゴミルクだし」
 冷たいイチゴミルクが一口、一口、お腹に落ちて行くのがわかる。

 ふと誰かが前を通るのに顔を上げた。

 わ、背の高い人……槇野くんくらいかなあ?その人はイチゴミルクのボタンを押す。ガコンとさっきと同じ音がして、その場でストローを差して飲む。
私が見ているのに気づいたのか、バチッと音がするくらい目が合って、慌てて会釈する。
「これ、冷えてんね。人気ないのかな。旨いのにね」と、パックを指差した。
「美味しいです……」
 私も答えるとにこっと笑った。名札の色から……三年生だとわかる。

 ……工藤……先輩?

「工藤先輩ー! キャプテン! 顧問待ってますって」私からは見えないけれど、誰かの声がした。
「ヤバ! あ、じゃね」
 そう言って走って行った。

 私は直ぐに残りのイチゴミルクを飲み干すとダストボックスに投げるように入れると走った。正直、冷たいイチゴミルクを飲んだ後に走るのはどうかと思ったけれど……

 すぐに報告したくなったから。